Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
ホーム プロフィール 演奏会 CD イタリア便り 新聞雑誌 リンク コンタクト

          イタリア便り
 
2010.10.27 N.35
「色々なゴルトベルク」


ミラノは急に寒くなり、冬の気配を感じる今日この頃です。

私にとって一大イベントだった、今月12日の国立音楽院の修了リサイタルは無事終えることができました。 ゴルトベルク変奏曲を人前で演奏するのは今回が初めてで、さすがに相当なストレスを感じました。 そのせいか、試験前は体調を崩し思うように回復しないなかで当日を迎えたので、 精一杯演奏して良い結果を生むことができたことに、本当にうれしく思っています。 そして、近くから、また遠くから応援してくれた皆さんに感謝しています。ありがとうございました。

その後は、伴奏や録音の仕事で各地を回り、やっと修了リサイタルが終わってもなかなかゆっくりできませんでしたが、 ちょうど1週間後には、私の教授のゴルトベルクを聞く機会に恵まれました。
それも、普通のゴルトベルク変奏曲ではなく、現代音楽祭での企画だったので、 先生がチェンバロで弾くオリジナルのゴルトベルクに、器楽アンサンブルと電子音楽を加えた作品でした。

レッジョ・エミリア市のヴァッリ劇場で演奏された「ゴルトバッハ変奏曲」と題されたこの作品は、 数人の現代作曲家によるもので、基本的にチェンバロのオリジナルのゴルトベルクと、 その他が奏でるものが対話をするという構成でした。

こうした大胆な作品を聞くのは、なかなか面白い経験でした。個人的にはとても好きでした。 また、劇場の使い方も興味深く、普通の客席を全く使わずに、舞台だけを使用して、その中で、 演奏者たちは逆向きに客席と反対向きに座り、我々聴衆は舞台奥に置かれた椅子に座って聴きました。 私たちの更に後ろには、マッキントッシュのラップトップがずらりと並び、 床にはいたるところに配線が巡らされているという景色も新鮮でした。

演奏者の後ろには、大きな白い薄い幕が下りていて、それに映写もされて、常に、 変奏番号と誰が(何のグループが)、何を演奏しているのか分かるようになっていました。

私もいつか機会があれば、ぜひそういった作品にも挑戦してみたいと思わされる、素敵な演奏会でした。 また、私の教授がこのような反古典的なアプローチに対して積極的であることに、私は更なる尊敬の念を抱きました。

そして12月には、ピアニストのシフが、ミラノでゴルトベルク変奏曲を弾きます。
何という偶然!生演奏をぜひ聞きたかったですが、その時期私は日本にいるので残念です。

再びゴルトベルクを演奏会で弾く日が来るのを楽しみにしています。
 
 

バックナンバー
2010.10.01 N.34「秋のミラノより」
2010.8.11 N.33「フランス・マントンより」
2010.7.10 N.32 「冷水シャワー!」
2010.6.19 N.31 「苦手な青空市場」
2010.5.19 N.30 「ゴルトベルクとプール」
2010.4.25 N.29 「最近聴いた演奏会」
2010.3.30 N.28 「日本での演奏会が終わって」
2010.3.3 N.27 「バルセロナの街」
2010.2.17 N.26 「カンプロドン」
2010.1.28 N.25 「テクニックは音楽を作ってから」
2009.12.31 N.24「本日バルセロナ18度!」
2009.11.20 N.23 「バルセロナから霧のミラノへ」
2009.11.7 N.22 「バルセロナ語学事情」
2009.10.17 N.21 「Hola!」@バルセロナより
2009.9.14 N.20 「女性作曲家たち」
2009.9.9 N.19 「教会オルガニスト見習い」
2009.8.20 N.18 「はじめてのホスピス演奏会」・・・一時帰国中
2009.7.19 N.17 「水温15度の湖へ!」
2009.6.17 N.16 「スイス・ビアスカ」
2009.5.27 N.15 「BIOエクスプレス始めました」
2009.4.27 N.14 「近況」
2009.3.19 N.13 「私の好きなピアニスト」
2009.3.5 N.12 「パラッツォ・クレーリチ」
2009.2.8 N.11 「スカラ座 当日券の話」
2009.2.6 N.10 「スカラ座」
2009.1.13 N.9 「オリジナルのフォルテピアノ」
2009.1.1 N.8 「賀春2009」
2008.11.7 N.7 「オバーマ!」
2008.10.8 N.6 「秋ですね」
2008.6.22 N.5 「ミラノの夜」
2008.6.14 N.4 「パレルモの喧騒」
2008.5.2 N.3 「Stefano Montanari氏のマスタークラス」
2008.3.27 N.2 「ショートオクターヴの1週間」
2008.2.26 N.1 「コンセルヴァトーリオ(音楽院)の試験」