Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
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イタリア便り
2010.5.19 N.30
「ゴルトベルクとプール」
ミラノにもやっとやっと、春がやってきたようです。
一度暖かくなったと思っていたら、2週間も雨が続いてとても寒かったのです。
最近、修了演奏会を意識しつつ、ゴルトベルク変奏曲に取り組み始めました。
チェンバロを始めたばかりのころ、ちょうど私の先生がCDを出されたり演奏会をなさっていたので、 興味本位でちゃらちゃらと難しくないところだけ弾いてみたことはありますが、 真剣に練習するのは初めてです。
手の交差がたくさん出てくることは知っていましたが、これまたさらっと一回弾くのなら良いのでしょうが、 それをゆっくり何度も練習するというのは、なかなか大変なことだと分かりました。 体に無理なく弾く、ということがほとんど不可能で、どうしても負担がかかるので、 肩こりは避けられません。
以前、プールに通って泳ぐのは仕事だと思ってやったほうが良いよ、 と助言してくれた私の恩師の助言をつくづく思い出しました。こちらでも、 やはりジムやプールに通っている音楽家の先生方は多く、とくに水泳はいろんな人に勧められ、 一年ほど前には一緒に行く友達にも恵まれて週に1,2回通っていた時期がありました。 それから夏の一時帰国やバルセロナ留学で中断していたのですが、今週、久しぶりに再開しました!
外に出たくなるような良いお天気にも恵まれて、晴れ晴れメトロに4駅乗って行ってきました。 プールの住所は、ピッチンニ通り8。18世紀のイタリア人作曲家の名前です。 イタリアの道には必ず人の名前がついていて、それは音楽家だったり哲学者、科学者、 建築家など様々ですが、道の名前の下に、小さくフルネームと生没年、何をしていた人だったかが書いてあり、 そんなのを見ながらそぞろ歩きするのも楽しいです。
さらに、最寄駅からピッチンニ通りまでの道は、モンテヴェルディ通りなのです!
こんなに私にとって身近な名前に会えると、何度行っても何となくうれしくなってしまいます。そして、 ピッチンニ通りのすぐ近くを平行しているのは、パガニーニ通り!
文化を感じるというか、何ともいえない感覚です。
でも、こうして自国で名前を残した人を道の名前に当てるというのは、素敵なアイデアだなと思います。 日本の道にも、一本ずつ、千年か二千年くらいさかのぼって歴史に残る人々の名前を付けていったら面白いのになぁなんて考えるのは、 私くらいでしょうか。
バックナンバー
2010.4.25 N.29 「最近聴いた演奏会」
2010.3.30 N.28 「日本での演奏会が終わって」
2010.3.3 N.27 「バルセロナの街」
2010.2.17 N.26 「カンプロドン」
2010.1.28 N.25 「テクニックは音楽を作ってから」
2009.12.31 N.24「本日バルセロナ18度!」
2009.11.20 N.23 「バルセロナから霧のミラノへ」
2009.11.7 N.22 「バルセロナ語学事情」
2009.10.17 N.21 「Hola!」@バルセロナより
2009.9.14 N.20 「女性作曲家たち」
2009.9.9 N.19 「教会オルガニスト見習い」
2009.8.20 N.18 「はじめてのホスピス演奏会」・・・一時帰国中
2009.7.19 N.17 「水温15度の湖へ!」
2009.6.17 N.16 「スイス・ビアスカ」
2009.5.27 N.15 「BIOエクスプレス始めました」
2009.4.27 N.14 「近況」
2009.3.19 N.13 「私の好きなピアニスト」
2009.3.5 N.12 「パラッツォ・クレーリチ」
2009.2.8 N.11 「スカラ座 当日券の話」
2009.2.6 N.10 「スカラ座」
2009.1.13 N.9 「オリジナルのフォルテピアノ」
2009.1.1 N.8 「賀春2009」
2008.11.7 N.7 「オバーマ!」
2008.10.8 N.6 「秋ですね」
2008.6.22 N.5 「ミラノの夜」
2008.6.14 N.4 「パレルモの喧騒」
2008.5.2 N.3 「Stefano Montanari氏のマスタークラス」
2008.3.27 N.2 「ショートオクターヴの1週間」
2008.2.26 N.1 「コンセルヴァトーリオ(音楽院)の試験」