Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
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イタリア便り
2010.3.30 N.28
「日本での演奏会が終わって」
2週間の一時帰国を終え、昨日ミラノに戻りました。
今回の帰国の一番の目的は、3月20日の演奏会、大学女性協会・女性作曲家シリーズ初回となりました 「バロック時代の女性作曲家たち」でした。
企画・運営をしてくださった皆様、そして会場にお越しいただきました皆様、本当にありがとうございました。 お陰様で、チケットは一月以上前から完売となり、私にとっても、同じ女性による、 素晴らしい作品たちに出会う貴重な機会となりました。
18日には、私のゲネプロを兼ねたホームコンサートを開き、実家の新しい音楽ホールのある家で、 建築家と工務店さん、そして近所の方などをお招きして、50人ほどのお客様に、とても身近な空間で、 チェンバロを聴いて頂きました。50人くらい入れる空間をということで設計されたリビングホールですが、 それだけの人数を集めての演奏会は今回が初めてでしたので、家族も建築士さんも、 どうなることかとわくわくする気持ちと少々の不安がありましたが、かなりシュミレーション通りだったようで、 まずは、成功に終わりました。
そして、ミラノに発つ直前の週末には、家族をはじめその他多くの方のご協力があり、母の実家である山梨県都留市で、 2つの出張演奏会をすることができました。
27日は、祖父や母らが代々通った青藍幼稚園の青藍会館で。
ゆったりと100席くらいの椅子を並べることができ、壁や床のきれいな木目が印象的で、 高い天井がチェンバロの響きにぴったりでした。一番最後の曲を弾きだして、真ん中のラの音のツメが折れていることに気づき、 どうしようかと一瞬悩んだ末、いったんストップ、お客様に状況や楽器の特徴などについてお話しながら、 使わない音のジャックと交換して応急処置の後、もう一度弾き直しました。突然のハプニングも、お客様は興味を持ってくれたようです。
28日は、祖母がお世話になっているツクイ都留中津森で。
そこに住む方たちとその家族、デイサービスに来る方、そしてスタッフの方たちの40人ほどがチェンバロに耳を傾けてくださいました。 楽器を組み立てた後も、15分後には朝の挨拶と体操、歌など、会場は普段の予定が普段どおりに行われていましたから、 ささっと調律を終えて、後は皆さんの様子を拝見していました。そして直前に着替えてお化粧をして髪を整えて出てきました。 その場その場で臨機応変に対応し、その状況下でのベストを尽くすことが大切だと思いました。
大概の方が皆さん大変静かに集中して聴いて下さり、また私の楽器のすぐ近くのお部屋でベットに横になって、 ドアを開けて聴いていた方も居て、とてもうれしかったです。
祖父が亡くなる数日前に、リクライニングできる椅子に寝たままピアノの演奏会を聴いたことが思い出され、 弾きながらいろいろなことを考えてしまって、音楽に集中しなければと自分に言い聞かせながら演奏しました。
小さな演奏会だったので、尚更、その機会を利用して、大きなホールではなかなか出来ないことをしてみました。 ジャックを手にとって楽器のしくみを説明したり、終演後には自由に楽器に触ってもらったり、近くで見たりしてもらいました。
少しずつでも、着実にチェンバロを広めているという手ごたえがありました。
ツクイでは、演奏会が終わったあとの皆さんの笑顔がとても印象に残っています。
これからも、一人でも多くの方と、音楽を通して笑顔を共有できたらと思います。
バックナンバー
2010.3.3 N.27 「バルセロナの街」
2010.2.17 N.26 「カンプロドン」
2010.1.28 N.25 「テクニックは音楽を作ってから」
2009.12.31 N.24「本日バルセロナ18度!」
2009.11.20 N.23 「バルセロナから霧のミラノへ」
2009.11.7 N.22 「バルセロナ語学事情」
2009.10.17 N.21 「Hola!」@バルセロナより
2009.9.14 N.20 「女性作曲家たち」
2009.9.9 N.19 「教会オルガニスト見習い」
2009.8.20 N.18 「はじめてのホスピス演奏会」・・・一時帰国中
2009.7.19 N.17 「水温15度の湖へ!」
2009.6.17 N.16 「スイス・ビアスカ」
2009.5.27 N.15 「BIOエクスプレス始めました」
2009.4.27 N.14 「近況」
2009.3.19 N.13 「私の好きなピアニスト」
2009.3.5 N.12 「パラッツォ・クレーリチ」
2009.2.8 N.11 「スカラ座 当日券の話」
2009.2.6 N.10 「スカラ座」
2009.1.13 N.9 「オリジナルのフォルテピアノ」
2009.1.1 N.8 「賀春2009」
2008.11.7 N.7 「オバーマ!」
2008.10.8 N.6 「秋ですね」
2008.6.22 N.5 「ミラノの夜」
2008.6.14 N.4 「パレルモの喧騒」
2008.5.2 N.3 「Stefano Montanari氏のマスタークラス」
2008.3.27 N.2 「ショートオクターヴの1週間」
2008.2.26 N.1 「コンセルヴァトーリオ(音楽院)の試験」