Harpsichordist TOMOKO MATSUOKA
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イタリア便り
2010.4.25 N.29
「最近聴いた演奏会」
日本はこのところ寒くて、4月も後半になってから関東地方でも雪が降ったと聞きました。
ミラノもなかなか春が来ないなぁと思っていたら、ここ数日暖かくなってきました。
今日は気持ちよく晴れて、きれいな青空が広がっているので、午後に公園にでも行ってみようかなと思っています。
最近、モーツァルトのレクイエムと、バルトルト・クイケンのトラヴェルソソロを聴きました。
生演奏を聴くというのは、本当に良いなぁと改めて感じた演奏会でした。
クイケンの演奏会は、ちょうど友人の修了演奏会の伴奏でピアチェンツァの国立音楽院に行った日の夜、 その音楽院で演奏会がありました。日中は、マスタークラスをしていたようです。 チェンバロなどの通奏低音なしのトラヴェルソソロのプログラム、というのは初めて聴きました。 「バッハとその周辺」というような題名で、プログラムはテレマンのファンタジー、ボワモルティエの組曲、 バッハのソロ作品、C.P.E.バッハのソナタ、S.L.ヴァイスの組曲でした。単旋律が、 まるで2声からなっているかのように豊かに、そして様々な音色で紡ぎ出され、とても美しかったです。 久しぶりの、古楽の演奏会でした。
モーツァルトのレクイエムを生で聴いたのは、また初めての経験でした。
これだから、人生、飽きることはなさそうです。
バルセロナのオルフェオ・カタラ合唱団の公演で、オーケストラはアンドラ国立クラシックオーケーストラ、 指揮はイタリア人のマウリツィオ・コンティ。 フランスとスペインの間にある小さなアンドラ公国とバルセロナのカタルーニャ音楽堂での2回公演でした。
オーケストラの厳粛で悲壮感漂う幕開けの後、合唱の何十人が歌い始めた瞬間は、 鳥肌が立ちました。合唱のパワーってすごいですね。そして見事な対位法。わくわくしました。 子供の頃、父がチェロを弾いていたアマチュアオケの定期公演があると、聴きにいっていましたが、 オーケストラのいろいろな楽器を見るのが楽しくて仕方ありませんでした。 父がチェロを弾いていたことと関係があるのか、チェンバロを始めてから通奏低音を弾くようになったからか、 オーケストラを聴いていると、どうしてもチェロが奏でるバスラインに耳を傾けてしまいます。 レクイエムでも、チェロが主役!みたいな箇所がありました。そして最後の最後、ティンパニで幕を閉じるときにも、 感動で一瞬視界がぼやけました。
こうした感動を味わえるのはとても素晴らしくかけがえのないことだと思います。
今、どこの国も不景気で、衣食住のように絶対になくてはならないものではない芸術を守っていくことは、 容易ではないかもしれませんが、こんなに物が豊かになった今こそ、 芸術のない世界はどんなに味気ないだろうかと思うし、何とか維持していきたい、また維持していただきたい、 と思います。
バックナンバー
2010.3.30 N.28「日本での演奏会が終わって」
2010.3.3 N.27 「バルセロナの街」
2010.2.17 N.26 「カンプロドン」
2010.1.28 N.25 「テクニックは音楽を作ってから」
2009.12.31 N.24「本日バルセロナ18度!」
2009.11.20 N.23 「バルセロナから霧のミラノへ」
2009.11.7 N.22 「バルセロナ語学事情」
2009.10.17 N.21 「Hola!」@バルセロナより
2009.9.14 N.20 「女性作曲家たち」
2009.9.9 N.19 「教会オルガニスト見習い」
2009.8.20 N.18 「はじめてのホスピス演奏会」・・・一時帰国中
2009.7.19 N.17 「水温15度の湖へ!」
2009.6.17 N.16 「スイス・ビアスカ」
2009.5.27 N.15 「BIOエクスプレス始めました」
2009.4.27 N.14 「近況」
2009.3.19 N.13 「私の好きなピアニスト」
2009.3.5 N.12 「パラッツォ・クレーリチ」
2009.2.8 N.11 「スカラ座 当日券の話」
2009.2.6 N.10 「スカラ座」
2009.1.13 N.9 「オリジナルのフォルテピアノ」
2009.1.1 N.8 「賀春2009」
2008.11.7 N.7 「オバーマ!」
2008.10.8 N.6 「秋ですね」
2008.6.22 N.5 「ミラノの夜」
2008.6.14 N.4 「パレルモの喧騒」
2008.5.2 N.3 「Stefano Montanari氏のマスタークラス」
2008.3.27 N.2 「ショートオクターヴの1週間」
2008.2.26 N.1 「コンセルヴァトーリオ(音楽院)の試験」